バルサミコ酢の効果や歴史と共に本物の探し方をご紹介します。

バルサミコ酢はエミリアロマーニャ州、モデナ市の特産物として知られています。長年バルサミコ酢の生産はされていたものの、ようやく市場に出始めた1900年代には、需要はあるのにも関わらず生産量が少ないため、幻の食材のような時期がありました。この時にお酢にキャラメルを混ぜ、バルサミコ酢と偽って生産された企業もいるとも言われています。少しでも、本物のバルサミコ酢を探す手助けになれれば嬉しいです。

クロスタータ

バルサミコ酢とは

バルサミコ酢 歴史

バルサミコ酢とは、Aceto Balsamico (アチェト・バルサミコ:バルサミコ酢)と呼ばれます。基本的には、2種類のバルサミコ酢があり、Aceto BalsamicoAceto Balsamic Tradizionale(アチェト・バルサミコ・トラディツィオナーレ:伝統的バルサミコ酢)という種類です。伝統的バルサミコ酢は、伝統的な製法に基づき、12年以上という時間をかけて熟成させたバルサミコ酢のことを指します。伝統的な製法に基づいて生産されたものの、熟成期間が短かった製品に対してバルサミコ酢の商品名を使用することが可能となります。その他、熟成されていないブドウ酢を主体に着色料香料カラメルなどを添加して生産されている商品は正確にはバルサミコ酢ではなく、擬似食品です。本物のバルサミコ酢の味を守るため、DOPIGPが決めた商品規定があります。そちらは記事の後半にて説明いたします。

バルサミコ酢の歴史と原点

バルサミコ酢は、モデナ一帯を治めた貴族の名家エステ家が作っていたため、非常に限られた貴族だけが味わうことができ、一般人や小作農には無縁のものだったと言われます。この、バルサミコ酢は18世紀中ごろ、エステ家の文書に記載されていたと言われ、近隣諸国の戴冠式などの贈り物といて送られていたということもあり、この時代の最高級の贈り物と考えられています。エステ家はバルサミコ酢の作り方を公開しないようにされました。18世紀末にはナポレオンがイタリア侵攻でエステ家が追われてしまったため、バルサミコの樽を裕福な商人など違う階級が買取り、この頃から製造方法も一般に広まったと言われます。

バルサミコ酢はどのようにして使われた?

エステ家がまだ繁栄していた頃には、一般的に広まってからは、子供が生まれた時にバルサミコ酢を作り、バルサミコ酢を嫁入り道具のように持って行くこともあったようです。時間をかけて作られるバルサミコ酢は、それほど貴重なお酢であったと考えられます。

バルサミコ酢の効果

バルサミコ酢は様々な成分を含んだ栄養価の高い酢とよく言われます。お酢の成分中でも、非揮発性有機酸と糖分、アミノ酸、カリウムなどのミネラルが高いというのが特徴的と言われます。ビタミンとミネラルが貧血予防とコレステロールを下げます。タンパク質の酸化を抑制します。これは善玉コレステロールの割合を増加させ、血行を良くし冠状動脈性心疾患を予防してくれます。抗酸化作用があるので、細胞を新しくするため抗がん作用や血栓予防、アンチエイジングにも効果があるとされています。ポリフェノールは血管壁の通過性を良くしする作用も見込めるため、動脈効果を予防に役立てられます。タンニン酸で虫歯予防や放射能汚染から体を守ります。バルサミコ酢の原材料は葡萄ですので、ワインと効果が似ているものの、濃縮しているバルサミコを少し使用するだけでも効果があると考えられています。お酢の一番の特徴はポリフェノールで、米を原料に作られる日本の黒酢も栄養豊富ですが、バルサミコ酢のポリフェノールはなんと黒酢の3倍と言われます。

写真にあるバルサミコ酢のボトルの下にある青縁されている黄色のロゴが、IGPマークです。

バルサミコ IGP
バルサミコ IGP

IGP バルサミコ酢とは

バルサミコ発祥の地モデナ市

歴史のあるモデナのバルサミコですが、冒頭にも記載したように市場に流通しはじた当時は、注目されているのにもかかわらず、生産される量が圧倒的に少なく、なかなか手に入らない商品でした。あまりにも手に入らないため、最終的には「偽造されたバルサミコ酢」が世界中に出回ってしまったと言われます。DOP称号は、熟成させる期間が、伝統的バルサミコ酢と同様12年もしくは25年と期間が長いため、伝統的な製造方法を使用し、製造コストを抑えつつ、おいしいバルサミコ酢をつくる方法をモデナのバルサミコ酢の生産業者達が各自研究がされました。1950年ごろ、時間と手間を省いた一般消費用のバルサミコ酢の製法が確立されはじめ、「伝統的でないけれど、ニセモノでもないモデナのバルサミコ酢(Aceto Balsamico)」が市場に並ぶようになります。この時代には各社がオリジナルの製法でバルサミコ酢を作っていたため、品質も味もまばらでした。IGP(地域生産ラベル)、ヨーロッパの各地域にある重要な特産物を保護するためにEUが定める規格です。モデナのバルサミコ酢生産者たちは、モデナのバルサミコ酢のブランドイメージを汚さないため、2009年にバルサミコ酢としての品質と独特の風味を保証する細かなルールを作り、その製法に基づいた製法と風味を持ち得たバルサミコ酢のみ「IGP」として認定されることになりました。IGPは熟成期間が短いため、ぶどうの糖度や酸味をチェックしながら、加熱の具合など熟成させるに最も適した濃度に煮詰めていくことが大切と言われます。

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IGP

  • 原材料:モスト+10年以上熟成したワインビネガー
  • 熟成期間:60日以上醗酵させた後、基本3年未満
  • ぶどうの品種:協会に認定された7種類のブドウ(ランブルスコ、サンジョベーゼ、トレッビアーノ、アルバーナ、アンチェッロッタ、フォルターナ、モントゥーノ)
  • 容量:250mL以上のガラス、木、陶器の容器
  • 装:特に規定なし
  • 保存料:×使用しない
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DOP

  • 原材料:ぶどうを搾取して煮詰めたもの(モスト)のみ

    熟成期間:12年、または25年以上

    ぶどうの品種:モデナで生産される2種類のブドウ(ランブルスコ、トレッビアーノ)

    容量:モデナバルサミコ酢協会仕様のガラス瓶100mL

    装:モデナバルサミコ酢協会仕様の豪華紙箱入り

    保存料:×使用しない

ワインビネガーとは何が違う?

バルサミコ酢:ワインビネガーと葡萄濃縮エキスをさらに発酵させるバルサミコ酢の原料となるブドウの果実を圧搾し、果汁を煮詰め、これを木の樽に詰めて熟成させます。熟成の過程で自然蒸散して量が減っていくので、その度に、異なる木材でできた樽に移し替えながら熟成させます。樽に使う木材の種類や移し替える回数で風味が変化し、かく生産者の特徴を出すそうです。

ワインビネガー:ワインもろみを空気に触れさせながら発酵させるワインビネガーも、バルサミコ酢と同じくブドウを原料としています。搾汁したブドウの果実にワイン酵母を加え、ワインもろみを作り、酢酸菌を加え、樽内の空気に触れさせながら発酵させます。こうしてできたワインビネガーにワインを継ぎ足し、熟成することを繰り返しながら長期間熟成させます。

バルサミコ酢を活用するには?

バルサミコ酢を手軽に活用するなら、サラダのドレッシングやソースなどにおすすめです。バルサミコ酢にオリーブオイルを加えて、塩とコショウで味を整えればイタリアンサラダが簡単に作れます。バルサミコ酢は加熱をすると酸が蒸発し甘みが増します。お肉やお魚を焼いた後、バルサミコ酢、塩、胡椒、バターなどを加えて煮詰めるだけで、本格的なソースに仕上がります。

ストーリエ・  ディタリアがお勧めするバルサミコ類

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