ワインの熟成とデカンタージュ。温度と空気が起こす素敵な化学反応

なぜワインをデカンタージュをするんですかと聞かれたら、なんとお答えしますか?いくつか理由を聞きますが、空気に触れさせて、味が変化するから!という理由を良く耳にするような気がします。ワインは、デカンタージュによって味や香りが良くなるものがある一方で、中には風味を損ねるワインもあります。せっかくのワインが台無しになってしまっては、勿体無いですよね。

19世紀の化学者ルイ·パスツールが初めてワインの成分を化学的に解明するために研究が行われたと言われます。ブドウに影響を与える育成地の総合的な環境を指して「テロワール」といいます。生産が同じ場所され、同じ収穫のタイミング、同じ醸造所でつくられたワインでも、わずかなテロワールの違いで風味に変化が生じます。今日はワインの熟成やデカンタージュに関する化学反応についてお伝えしたいなと思います。

ワインを熟成するということは・・・

ワインを作る過程には、必ず熟成させる期間があります。ワインは熟成させるとどのように変わるのでしょうか。ワインを熟成させることで、つまりぶどうの品種、成熟度、糖度、保管容器を元に熟成期間によって、ワインの色合い、口当たり、香りを芳醇なものへと変化させます。ワインの熟成度によってワインに含まれる有機酸や糖、アントシアニン、タンニンなどの成分が変化します。

ワインを熟成させるためには専用の樽にて保管しておかなければなりません。基本的には木樽やステンレスタンクの2種類があります。ステンレスのタンクはメンテナンスが比較的に楽でコスト面でもたくさんかからないと言われます。しかし、一般的には木樽による熟成の方がワインにより深い変化を与えることができると言われます。その理由として、木樽でワインを熟成させた場合、ワインが適度に酸素に触れることができるため、酸化による変化が深まると言われます。適度に酸化させることができる上、木樽のポリフェノールやタンニンがワインに溶け出すことで、香りにも変化が起こります。そのため、木樽で熟成させると酸化と木樽の相性で深みが増し、まろやかで落ち着いた味になります。

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赤ワインの熟成

赤ワインを熟成させると酸化させるとタンニンの渋みを澱(おり)変化させて沈殿させることで、旨みを引き出すことができます。作られてまもない、少し尖った味から、まろやかな味に変化します。味の変化の表現には色々な言い方がありますが、まろやかや柔らかい印象の飲み心地です。

赤ワインは、若いときの方が濃い色をしているといわれる。若い赤ワインは紫がかった赤していますが、熟成を重ねるとオレンジ色がかった赤に変化します。赤ワインに含まれているアントシアニンは熟成年数に応じて減少することがわかっています。このアントシアニンは赤ワインの色の元になる成分で、約11年目には、約9割安定した状態になるので、渋みのある赤になります。

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白ワインの熟成

白ワインは、長期で熟成するイメージがないかと思います。それもそのはずです。白ワインは生産過程で熟成する期間を設けない銘柄が多いと言われます。もし、白ワインを熟成させた場合、赤ワイン違いワインの色が濃くなります。熟成すればするほど、透明感がなくなり、オレンジがかった色に変化します。また、味にも変化がありフレッシュな果物のような味わいから、乾燥されたフルーツのような風味に変化さるそうです。少量ながら白ワインに含まれるフェノールが酸化される関係で色が褐色していきます。

デカンタに起こる化学反応

ワインバー等に行くと長年熟成させたワインをデカンタージュさせるを一度はご覧になったことがあるかと思います。そのデカンタージュをする理由として主に4つの効果が考えられます。①古いワインから澱(おり)を取り除く ②空気に触れさせ、香りを開花させる、③空気に触れさせ、タンニンをまろやかにさせる、④ワインの温度を適温に上昇させるという4つです。

デカンタージュは、主に成熟したヴィンテージのワインに使用されるかと思いますが。一部熟成がほとんどされていない若いワインの尖りを取るためにデカンタージュさせることもあります。もちろん澱を覗く機能もありますが、ワインの風味に変化が一番わかりやすく出ます。そのため、デカンタージュは、速攻で樽熟成のような状態にさせるような方法と考えてください。空気を含むので、その分味わいと色の安定化を促進させます。

デカンタージュの方法

デカンタージュの方法は簡単ですが、もし澱があるワインをご使用の場合は、1週間ほど前からワインボトルを立てて保管しておき、澱を瓶底に沈めておくようにしましょう。

①コルクを抜いたらボトルの口を拭きます。これは、余計なホコリを入れないためです。

②安定的に注ぐため、利き手をワインのボトルを持ってゆっくりとデカンタに注ぎます。

③ボトルの下1cmほどの部分には澱が溜まっていることが多いため最後はボトルの下にライトを照らして確認してください。

若いワインで沈殿物が少ないボトルは、澱を気にせず空気に触れることが大切なので、デカンタにワインボトルを立て、勢いよく注技ます。そうすると味や香りが開きます。

最後に

酸化させることでワインに変化でるため、ボトルを開けた時から時間をかけて飲むことにより、その変化をより楽しむことができるかと思います。デカンタージュする容器の口の広さや空気に触れさせ方も視野に入れながら、変化を楽しめるワインを選んでみてください!